4Kモニター購入記

Last modified date

はじめに

当初そんな予定はなかったのだが、4Kモニターを2台も購入してしまった。機種はI-O DATA KH2750V-UHDとDell U2720Q。なぜそうなったのか、そしてその2台はどう違うのか、色々検証してみる。

1台目: I-O DATA KH2750V-UHD

ホームシアターを構築する過程で、オーディオの方はほぼ完結したので、次はビジュアル方面に注力しようとした。今は4Kテレビや4Kモニターのエントリー機種はかなり安くなっており、HDR対応のものでも十分手が届くものとなっていることから、4K/HDR環境を構築しようとした。

まずは4Kモニターだ。現状机のスペースと机に置いてあるブックシェルフスピーカーのサイズ的に28インチ程度しか置けないのだが、27~28インチ程度の4Kモニターはエントリー機種かカラーマネジメントモニター、高級ゲーミングモニターぐらいしかない。あいにく数十万する高級機なんて買う余裕はないので、現状とりあえず4K/HDRなら何でもいいやと思い、27インチのエントリー機種、I-O DATAのKH2750V-UHDを購入した。

余談だが、このシリーズには仕様が同一で販路や保証年数が異なるモデルが3つ存在する。
・LCD-M4K271XDB: 家電量販店向け、5年保証
・EX-LD4K271DB: 通販向け、3年保証
・KH2750V-UHD: PCショップ向け、3年保証

23インチの旧メインモニター、MITSUBISHIのDiamondcrysta RDT234WXで動画を観る時は画面サイズに少し不満を抱いていたのだが、27インチのKH2750V-UHDではニアフィールドで使用すると程よい大画面感が得られる。また、27インチあると、4Kの高解像度が動画を観ていない時でも生きてくる。PC用モニターとしては、23インチフルHDより文字がくっきり見えるし、何より作業領域が広々としていて快適だ。

KH2750V-UHDの画質

KH2750V-UHD(左)はPC用モニターとしてはそこそこいいものではあるが、4K/HDRモニターとしてはエントリー機種なので、画質面では特筆すべきことはない。むしろ、発色やコントラストといった素の画質面では、FHD/SDRのRDT234WX(右)の方が勝っている。

KH2750V-UHDは全体的に発色が淡い上に、暗部が引き締まっておらず全体的に白っぽい画になってる上、高輝度側は白を飛ばしがちで、コントラストが低く立体感に乏しい画になっている。

それと、最大輝度が250nitという点は、SDR用途ならともかくHDRモニターとしては残念。HDR対応を謳うならば、せめて400nit、できれば600nit以上はほしいところではある。

KH2750V-UHDは1〜3万円程度の一般的なPC用モニターよりはスペックは高いかもしれないが、基本の画質はあんまり…と言ったところ。「4K/HDRに対応しました」と言うと聞こえはいいが、あくまでエントリー機種であって、画質を期待して買うものではない(と思う)。これはハイレゾ対応を謳う有象無象のオーディオ機器にも同じことが言える。

とは言え画質面に関しては値段なりでしかないと割り切って買ったので、仕方ないと思っている。しかし…

KH2750V-UHDのHDR問題

KH2750V-UHDでHDRコンテンツを再生すると、どうも赤が弱くなり、全体的に黄色っぽくなる上、その黄色は蛍光色をしている。黄色に寄ると言っても色温度の低下とかそういう話ではない。

確かにKH2750V-UHDはHDR信号を受信すると色温度が6500K固定になるなど一部の設定が変更不可能*になるが、HDRで黄色くなる問題に関しては、SDRで6500Kに設定した状態で見る赤と、HDR時の赤はまるで違う。

*メニュー内の「映像」「小画面」「VDTモード」が全面的に使用できなくなる他、「表示」内の「アスペクト比」「超解像デモモード」「CREX」などについても使用不可能となる。なお、HDRモニターではHDR時に輝度が変えられないものも存在するが、KH2750V-UHDはHDR時でも輝度は調整可能である。

それも「赤が弱くなった気がする」「黄色っぽくなった気がする」とかいう漠然とした話ではなく、そもそも普通に映像を観ていても不自然で気持ち悪いと感じる色味になる。具体的には人の肌が血色悪くなったり、木の色から赤みが取れて黄色っぽい不自然な色になったりしている。

HDR対応スマホ、Pixel 3 XL(色温度6700K)と比較しても、KH2750V-UHDの方が赤が弱いのは明らかだ。

色温度がかなり異なるが、7200KのXperia XZ2 Premiumと比較してもKH2750V-UHDの方が赤が弱いことがわかる。

また、上記で使用しているデモ映像(Core Universe)とほぼ同内容のもの(Universe)がHDR対応の映画館フォーマットであるDolby Cinemaでも流れるのだが、梅田ブルク7やMOVIX京都のDolby Cinemaでそれを観た際の色味は上記のスマホ2機種に近い。まさかDolby Cinemaですら異様に強い赤を出していると言ったことはないだろう。もしそんな事があるとすれば大問題だ。

ちなみに、KH2750V-UHDのパネルそのものが赤の発色が弱い可能性も考えられるが、SDRだとPixel 3 XLやXperia XZ2 Premiumと比較しても特段赤が弱いと言ったことはなく、明らかにHDRコンテンツを表示しているときのみ赤が弱くなっている。

KH2750V-UHDを早くも修理へ

この件をサポートに問い合わせたところ、修理対応になった。

診断内容:弊社検査にて、LED不灯(メイン基板不良)を確認いたしました。
修理内容:メイン基板を交換致しました。

修理報告書より

LEDというと恐らくバックライトのことだろうが、それの不灯で色が変わるとはどういうことだろうか。何らかの理由でHDR映像入力時はバックライトの色温度がすごく低くなるとかだろうか。などと考えつつ修理完了品でHDRコンテンツを表示してみたところ、なんと肝心の色味問題が治っていなかった。

LED不灯の意味がよくわからず(もしや電源ランプを設定でオフにしていたのを言っている?)、またそもそも肝心の色味問題が治っていなかったので、今回の修理内容の詳細な情報を尋ねたところ、以下のような回答を得た。(なお、以下の文章には誤字脱字等が含まれるが、これは原文ママである。)

お時間を頂きまして修理詳細につきまして、確認をした結果をご報告させていただきます。
LEDに月島手は、電源ランプのことも確認しておりましたが、電源ランプは設定のリセットで点灯することを確認しております。
今回の内奥は、LEDバックライトが暗い状態であったため、対応いたしました。
HDRコンテンツの表示が異常というご申告でしたが、暗い状態であったので対応いたしました。

ただ、現時点でお手元ではHDRについて改善されていないという状況であるとご申告いており、ご迷惑をおかけしております。誠に申し訳ございません。
恐れ入りますが、再度修理センターに製品をお預かりさせていただき、対応させていただきたいと思います。ご検討いただけますでしょうか。

サポートセンターからのメール連絡より

ということで2度目の修理に。今回は以下のような対応になった。

診断内容:製品の動作不良(電源LED不灯)を確認いたしました。HDRコンテンツの表示色異常は確認できませんでした。
処置内容:本体を交換いたしました。
特記事項:交換品での動作をお試し下さい。

修理報告書より

ということで新品の個体が送られてきたのでそれで色味を試したのだが、やはりHDR時は色が黄色に寄るというのは相変わらずだった。

ということは、Dolby CinemaもXperia XZ2 PremiumもPixel 3 XLも色がおかしい、あるいは自分の色彩感覚そのものがおかしい、といった状況でなければ、このモニターが元々こういう仕様だということになる。

「赤が弱いのは意図的な仕様なので気に入らないなら買うな」という話でなければ、この件は設計段階での欠陥で、それに気づかないI-O DATAがおかしいと言わざるを得ない。今回の件で、今後I-O DATAのHDRモニターを買う気はなくなってしまった。

KH2750V-UHDのスタンドは…

もう一つの不満として、スタンドがかなり不安定なのが気になる。本体のボタンを操作したり、家が少し揺れた際にそこそこ揺れるので、結構気になる。自宅周辺は地盤が弱く、大型トラックが通っただけでも3Fとかにいると結構揺れを感じる。KH2750V-UHDはその影響をモロに受ける。

エントリー機種特有の安いつくりや、工学的な遊びだと割り切って使うにしてもかなり揺れがひどく、27インチのモニターがここまで揺れるのは恐怖だし、映像を観ているときに揺れると嫌でも気になる。

このモニターを使う際は、モニターアーム等を利用したほうがいいかもしれない。自分はスピーカーでモニターを左右から挟み込んで揺れを抑制した。

2台目: Dell U2720Q

KH2750V-UHDがRDT234WXに画質面で劣り、スタンドが不安定な上に、HDR時に色味が変になるのは仕様。これはもう早くも買い替え時かなと思った。KH2750V-UHDを購入したのが去年の10月なので、7ヶ月程度しかもたなかった。

次に選んだのは今年発表されたDellの27インチ4K/HDRモニター、U2720Q。先程も言ったが、HDR対応モニターなら600nitぐらいはほしいところだが、27インチクラスだと10万円以下の価格帯では350nit~400nit程度が限界。

この価格帯の27インチDisplayHDR 400認定モニターだとLGの27UL600/27UL650や27UL850も視野に入ってくるが、U2720Qに決めた理由は、工場出荷時にsRGBにおいて色差ΔEが2未満にキャリブレーションされている点、各色域のカバー率(LGだとsRGB 99%しか謳っていないが、DellだとsRGB 99%、Rec.709 99%、DCI-P3 95%)、1300:1とIPSにしては比較的高いコントラスト比(LGは1000:1)、ドット欠けがあれば無料で交換してもらえる「プレミアムパネル保証」、修理や交換が必要になった際には良品を先に送ってもらえる「良品先出しサービス」などだ。

KH2750V-UHDを2度修理に出した際にはFHDのRDT234WXをメインで使うことになり、画面サイズや解像度の低さからくる作業領域の狭さに耐えなければならなかった。なので、良品先出しサービスは特に魅力的に思えた。


購入から2日後には届いた。箱に直接送り状を貼って送られてきたため、箱には多数の擦り傷がついていた。箱が黒いのでよく目立つ。

キャリブレーション時のレポートが同梱されていた。これを見る限りでは、平均ΔEは1未満で、最大でも1.2程度といったところだろうか。

無駄に4K2面を含むトリプルモニター構成になった。

U2720Qの対応HDRフォーマットは?

対応しているHDR方式について公式サイトやマニュアルにはなかったため弊環境にて検証したところ、Ultra HD Blu-rayや動画配信サービス等で用いられるHDR10には対応していたが、新4K8K衛星放送等で用いられるHLGは非対応だった。

Ultra HD Blu-rayやOTTで用いられるHDR10+やDolby Visionは対応機器を持っていないので検証できなかったが、そもそもこれら2つは対応していたら公式サイトでそれを謳うはずなので、おそらく対応していないものと思われる。

なお、KH2750V-UHDに関してもHDR10のみの対応だ。HLGやHDR10+、Dolby Visionに対応していないのは何もKH2750V-UHDやU2720Qがケチっているからではなく、他の一般的なPC用HDRモニターでも対応していないものが多く、今のところカラマネ機等の高級機ぐらいしか対応していない。

テレビだと最近のモデルは新4K8K衛星放送のHLGに対応するのは当たり前となっており、Dolby Vision対応機に関しても安価なものが増えてきたので、今後HLGやDolby Visionにも対応した安価なPC用モニターの登場が待たれる。なお、HDR10+に関しては規格そのものがマイナーなので採用作品が少なく、テレビやプレーヤーへの対応もあまり進んでいない。

だが、仮にHDR10+やDolby Visionに対応していないからと言って、Ultra HD Blu-rayやOTTでそれらを採用したタイトルを観られないといったことはない。HDR10+や家庭向けDolby VisionはHDR10を拡張して設計されており、HDR10のみ対応する機器でも問題なくHDR10で再生できるようになっている。

それに対しHLGはHDR10/HDR10+/Dolby VisionのようなPQ方式ではないため、KH2750V-UHDやU2720Qで新4K8K衛星放送をHDRで観るなら、HLG/PQ変換機能を備えたパナソニックやシャープ等のレコーダーやチューナーが必要となる。

なお、本機種はDisplayHDR 400認定だ。勘違いされがちだが、DisplayHDRはHDRの規格ではなく、HDR対応モニターの表示性能を証明するもので、数字部分はピーク輝度を表す。DisplayHDRには400以外にも500/600/1000/1400、さらに有機ELやローカルディミング(分割駆動やエリア駆動とも)に対応した液晶向けの、400 True Black/500 True Blackも存在する。

なお、KH2750V-UHDではHDR時は一部の設定が変更不可能になると書いたが、U2720QもHDR時には制約があり、輝度とプリセットモードが変更不可能になる。

また、公式サイトにはHDCP 1.4までと書かれているが、マニュアルにはきちんとHDCP 2.2と表記があるし、実際HDCP 2.2がかかった信号も問題なく処理できており、新4K衛星放送やUltra HD Blu-rayを2Kダウンコンバートされることなく(= HDCP 1.4に落とされること無く)4Kで楽しむことができた。

気になるHDR時の色味問題を検証

左がU2720Q、右がKH2750V-UHD。4K/HDR対応のAVアンプ(YAMAHA RX-V781)でスプリット出力しているので、入力信号は全く同じ。

やはりKH2750V-UHDは黄色っぽい。特に果物の映像では上のオレンジと思しき果物が黄色に寄っている上に、下のレモンと思しき果物が蛍光色をしており、もはや別の果物に見える。その隣のカメレオンの映像では、木が不自然に黄色い。

おかしいのはXperia XZ2 PremiumでもPixel 3 XLでもDolby Cinemaでも自分の色彩感覚でもなく、KH2750V-UHDだった。

U2720Q VS. KH2750V-UHD

U2720QはΔE < 2に補正されているとのことだが、実際にその発色を見てみると、特に赤の発色がすごかった。とにかく赤の純度が高いため、KH2750V-UHDやRDT234WXの赤が朱色に見えてくる。色が正しいってこういうことなんだなと実感した。


KH2750V-UHDはHDR対応機にしては輝度が250nitと貧弱なので、HDRコンテンツを表示すると白飛びが起きやすい。

上記の例(先程の比較画像の流用)では、KH2750V-UHDはU2720Qに比べ炎の色が白く飛んでいるところが多い。

HDRでは、SDRの限界を超えた高輝度部や低輝度部に色をきちんと置いてあげることができるというのが特徴だが、HDR10やDolby VisionなどのPQ方式では表示装置が出せないぐらい高い輝度の色は白く飛ばされる。そのため、HDRにおいては輝度は画質面ではとても重要な要素だ。

U2720Qでも輝度は十分とは言えないが、(KH2750V-UHDの変な色味は無視しても)KH2750V-UHDよりは高品質な表示が可能になっている。


映像情報表示の詳細さに関しては、解像度、FPS、クロマサブサンプリング、色深度、SDR/HDRを表示できるKH2750V-UHDに満足していた(要設定)。

KH2750V-UHDの映像情報表示

しかし、U2720Qでは解像度、I/P、色深度、SDR/HDRしか表示できない。しかもU2720Qは日本語が怪しく、上の画像で言えば「デイスプレー情報」だとか「モテル」だとか…

U2720Qの映像情報表示

FPSならAVアンプで表示できるが、クロマサブサンプリングはどうしようもない。

YAMAHA RX-V781(AVアンプ)の映像情報表示

それに、U2720Qの情報表示はメニューの階層を辿らないと出ないが、KH2750V-UHDのは電源ボタンを除く任意のボタン一発で出すことができる(ダイレクト機能オフ時)。

映像情報の出しやすさと詳細さに関しては、KH2750V-UHDの方が強い。なお、先程挙げたLGのモニターも、展示機を触ってみた限りではKH2750V-UHDほど詳細な表示はできなさそうだった。この点(だけ)はKH2750V-UHDを気に入っている。

U2720QとDIGAの相性問題(?)

KH2750V-UHDもU2720Qもパネルは色深度各色10bitだが、各色12bitの信号を受け取ることもできる。

KH2750V-UHDでは、PanasonicのDIGA DMR-4W200(4Kレコーダー/UHDBDプレーヤー)で「DeepColor出力の設定」を「オート(12bit優先)」にすると、SDRコンテンツでもHDRコンテンツでも12bit出力された。

(先程の画像の流用)

U2720Qでも「オート(12bit優先)」ではSDRコンテンツは12bit出力(U2720QではRGB合計36bit表示)されたが、

(先程の画像の流用)

HDRコンテンツはなんと8bit(合計24bit)出力に制限された。SDRならともかく、HDRで8bitは厳しい。

U2720Qでは、HDR映像入力時は右上に「HDR+」と表示される。

HDRを10bitで出力するなら「オート(10bit優先)」にしないといけなかった。この場合、SDRコンテンツもHDRコンテンツも10bit出力となる。

なんだかよく分からない問題だったが、幸いU2720Qに色深度を表示する機能があったので気づくことができた。

おわりに

Dell U2720Qは400nitというのがHDRには少し物足りないが、SDRだろうがHDRだろうが重要な色精度と各色域のカバー率が一定以上の水準にあり、スタンド調整の自由度が高く、プレミアムパネル保証や良品先出しサービス、そして価格を考慮すると、すごく満足度の高い買い物となった。

井戸水

ガジェット、オーディオ、映画館が好きな情報系の大学生。

コメントを残す…