Dolby CinemaとIMAXレーザー/GTテクノロジー

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TL; DR

2大PLF(プレミアム・ラージ・フォーマット)、Dolby Cinema(ドルビーシネマ)とIMAXレーザー/GTテクノロジーに関して、それぞれのレビューをしつつ、魅力を語りたいだけ語る。なお、劇場内での写真はすべて上映開始前または上映終了後に撮影したものである。

(参考) 今まで見た作品

Dolby Cinema

(いずれも梅田ブルク7で鑑賞済み、「ジョーカー」と「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」はMOVIX京都でも鑑賞。)

  • レディ・プレイヤー1 (字幕)
  • マトリックス (字幕)
  • ジョーカー (字幕)
  • ターミネーター:ニュー・フェイト (字幕)
  • アナと雪の女王 2 (字幕)
  • アナと雪の女王 2 (吹替)
  • スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け (字幕)
  • Fukushima 50
  • ボヘミアン・ラプソディ (字幕)
  • ベイビー・ドライバー (字幕)
  • ワンダーウーマン (字幕)

IMAXレーザー/GTテクノロジー

(いずれも109シネマズ大阪エキスポシティ)

  • ジョーカー (字幕)
  • ターミネーター:ニュー・フェイト (字幕)
  • アナと雪の女王 2 (字幕)
  • ダークナイト (字幕)
  • ダンケルク (字幕)
  • インセプション (字幕)

Dolby Cinema

必須ではないが、入り口には上映する映画に合わせたショートムービーを流す廊下、AVP(オーディオビジュアルパス、オーディオビジュアルパスウェイとも)が設置されている劇場もある。細かいデザインは劇場によってまちまちである。

梅田ブルク7のDolby CinemaのAVP。
残念ながらマトリックスのときはトラブルで何も映っていなかった。
MOVIX京都のDolby CinemaのAVP。
2~4枚目はAVPの汎用映像。

やはりDolby Cinemaといえば “黒” がとにかくすごい

プロジェクターのダイナミックレンジの高さや暗部の表現能力の高さもすごいが、劇場デザインによる黒の追求もすごい。スクリーンの光をあまり反射しない壁やシートなどの内装のおかげで、照明が消えるとほぼ真っ暗になる。この暗さや黒さに慣れると、普通の劇場に行った際、スクリーンの光の反射がどうしても気になってしまう(こともある)。Dolby Cinemaは、とにかく最高の “黒” を追求した劇場になっている。Dolby Cinemaの基調は、AVPからも分かるように黒に青(ドルビーブルー)の差し色で、これは劇場内も同様だ。

後方から見た梅田ブルク7のDolby Cinema
後方から見たMOVIX京都のDolby Cinema
前方から見た梅田ブルク7のDolby Cinema
前方から見たMOVIX京都のDolby Cinema

そんな最高の “黒” を追求した劇場で観るHDR(Dolby Vision)の映像とか凄くないわけがない。Dolby Laboratoriesが映像(Dolby Vision)も音響(Dolby Atmos)も劇場デザインも、全てパッケージングしてDolby Cinemaという名称で提供するのもうなずける。

梅田ブルク7のDolby Cinemaのスクリーン比率はFLAT(ビスタサイズ)、MOVIX京都のスクリーンの比率はSCOPE(シネスコ)なので、それぞれ梅田はSCOPE、京都はFLATの映画では黒帯が出るが、黒が本当に黒いので帯があることを意識しなければさほど気にならないのも良い点。

MOVIX京都はDolby Cinemaがあるフロア全体までもが黒っぽくなっている。

先程、劇場内がほぼ真っ黒になると言ったが、スクリーンが明るいと、どうしても天井やシートへの反射は完全には消せない。その上、T・ジョイ系列のDolby Cinemaではスピーカーが天井に埋め込まれているが、SMT系のDolby Cinemaでは天井スピーカー(Dolby SLS 3軸)が露出しているため、天井に加えてこのスピーカーへの反射も結構気になる。


MOVIX京都のDolby Cinemaには、最前列にオットマン付きのリクライニングシートが用意されている。同じSMT系の丸の内ピカデリーのDolby Cinemaも最前列はリクライニングシートだが、MOVIXさいたまはそうではない。

期待半分不安半分で実際にSWを最前列で観てみたのだが、リクライニングできる分、思ったよりも無理に見上げなくてもよく、割と見やすかった。ほぼ視界いっぱいにスクリーンが広がり、程よい没入感が得られる。大スクリーンに4Kなので、最前列で観てもしっかり鮮明というわけではないが、輪郭が甘くぼやけたりはしない。ただ映像のインパクトよりも字幕のインパクトの方が強い印象があった。

「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」ではハイパースペースジャンプで突然宇宙空間に宇宙船が現れる印象的なエフェクトが用いられるが、それを最前列で観ると、より迫力が増す。また、エンドクレジットの背景に星(不動)があるのだが、じっと観ているとクレジットが動いてるのか星が動いてるのかよくわからなくなってくる。なお、「スター・ウォーズ」シリーズ特有の冒頭に文字が流れるシーンでは字幕が右端に出るので、そちらばっかり見てしまった。

なお、Dolby Atmos for Theaterでは、RLP(Reference Listening Position、設置や調整の際の基準の位置)を劇場の奥行きの2/3の位置としている。最前列だと、もはやUniverseトレーラー(後述)で雨がどこで降っているのかわからず、ほぼ雷鳴しか聞こえてこない。音響的にはあまりいいポジションとは言えないが、それでも本編で特に不自由することはなかった。

[PDF] https://www.dolby.com/us/en/technologies/dolby-atmos/dolby-atmos-specifications.pdf

Dolby Cinemaでは、上映直前にDolby Cinemaの構成要素であるHDR(Dolby Vision)とオブジェクトオーディオ(Dolby Atmos)を説明して実演するトレーラー、Universeが流れる。

↓ 日本語版

初見のときはかなり楽しかった。Dolby Atmos (for Home) なら筆者のホームシアターでも体験できるが、小さな空間での5.1.2ch構成ごときでは到底追いつくことができない、本物のDolby Atmos (for Theater) をじっくり体験し、味わうことができた。

また、Dolby Visionの説明での「今見ているこの色は、実は黒ではありません。これが、本物の黒。」のナレーションとともに、画面中央に映る白丸の輝度が下がることなく(むしろ上がってる?)、周辺の黒浮きした部分だけがきれいにストーンと落ちてほぼ真っ黒になるデモはかなりびっくりした。

現在使用している輝度250nit(笑)でコントラスト比1000:1(笑)ごときでHDR対応を謳う、ローカルディミング非対応の格安4K液晶モニターとの格の違いを見せつけられた。

初見のときは本編が始まる前のそのトレーラーだけでももう十分楽しくて、ワクワクして、無意識に変な笑みを浮かべていた。「おお…」と声が出そうになったのを抑えるのが大変だった。なんて言ったってオーディオビジュアル業界にいる人達をも唸らせるレベルなのだから。

最初に画面に映し出されたのは、黒い背景に白い線で描かれた円が浮かんだ映像。正確に言えば、グレーのスクリーンの中央にぽわっと白い円が映っているイメージでしょうか。大沢氏いわく、実はこれが「一般的な、良い映画館の映像と呼ばれるもの」。ここで映像がドルビーシネマに切り替わると・・・不意に目の前のスクリーンが消えて漆黒の空間が広がり、鋭いエッジの白い円が浮かび上がったではありませんか!劇場のあちこちから「おぉ」というどよめきが漏れ、筆者も思わず隣の編集M氏と顔を見合わせたほどです(笑)。大沢氏の言葉を借りて言うなら「私たちは本当の『黒』を見ていなかった」!

ドルビーシネマで見えた『アベンジャーズ』本当の姿! “驚愕の漆黒表現”を体験してきた – PHILE WEB
https://www.phileweb.com/review/column/201905/22/734.html

ところで、Dolby Atmosの説明の “this is the world’s first object-based cinematic audio.” が日本語吹替版ではcinematicが取れて「世界初、オブジェクトベースの、オーディオテクノロジー。」になってるのはよくない気がする。オブジェクトオーディオ自体は昔から存在するからだ。


Dolby CinemaのトレーラーはいずれもUniverseだった。Universeは観ていて楽しいが、個人的にはDolby VisionとDolby Atmosの解説しかしていないUniverseとは違い、劇場デザインについても触れているElementも流してほしい。なお日本のDolby CinemaでElementが流れたという情報はない。


「アナと雪の女王 2」はDolby Cinemaで観ると「映画」が「観るアトラクション」に変貌する。映像の繊細さ、色彩の鮮やかさ、コントラスト比、明るさにおいて、IMAXレーザー/GTテクノロジーを圧倒していた。黒背景でキャラが歌うシーンや、暗い海を(肌も髪も服装も白っぽい)エルサが渡ろうとしているところに暗い空から雷が落ちてくるシーンなど、コントラスト比の高さがよく分かるシーンが多かった。Dolby Cinemaで本作を観た後にIMAXレーザー/GTテクノロジーでも観たのだが、(なんかぱっとしないし、ただ画面が大きいだけじゃん…)という印象になってしまい、観る順番を間違えたような気がした。もちろんIMAXレーザー/GTテクノロジーが凄くないわけではないのだが、Dolby Cinemaはそれを凌駕している。この作品は過去最高のDolby Cinema向き映画だと思えた。最初に観た字幕版では暗いシーンでの字幕が煌々と輝いているのが気になって、コントラスト比の高さが裏目に出ているような感じがあった。後に吹替版を同じくDolby Cinemaで観たのだが、字幕がない分、映像美を堪能することに集中できた。日本語Dolby Cinemaコンテンツは貴重なので、吹替に抵抗がない限り吹替で観ることをおすすめする。

「Fukushima 50」はそもそも邦画なので、字幕を目で追ったり字幕の眩しさを気にしたりすることなく、映像に集中できる。停電中の屋内の描写が多いのでDolby VisionやDolby Cinemaの黒さや暗さが際立つ。

「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」はそもそも舞台が宇宙空間なので、黒が映える。本作は宇宙空間以外にも暗いシーンがあるが、暗所が黒つぶれせずにしっかりと描写されていた。

Dolby CinemaのDolby Visionと黒の表現能力が、「ターミネーター:ニュー・フェイト」では夜間(=低輝度)のアクションシーンやそこで起こる爆発(=高輝度)などを引き立てていた。

「ジョーカー」や「マトリックス」は全体的に暗めのシーンが多いので、黒の表現力の高さが伺える。「マトリックス」では暗い場所で急に強い光が差すシーンもそれなりにあるので、Dolby Visionのパワーを感じることができる。

なお、Dolby Cinemaはコントラスト比の高さが魅力なので、基本的に背景が黒い映画のエンドクレジットも地味ながら見どころとなる。


一方音響面では、割れやひずみのない大音量でダイナミックな音がDolby Atmosによって動き回っている。「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」では、宇宙船や砲弾等が立体的に飛び回っているため、特にDolby Atmosの威力を感じられた。「ターミネーター:ニュー・フェイト」はSWほどではないが、同様にアクションシーンを盛り上げていた。

梅田ブルク7(Dolby Cinema)と109シネマズ大阪エキスポシティ(IMAXレーザー/GTテクノロジー)に限った話かもしれないが、「アナと雪の女王 2」の低域はDolby Cinema向きだった。またしても本作をDolby Cinemaで観るべき理由が増えた。

「Fukushima 50」は正直邦画のドラマ作品だと侮っていたのだが、邦画では珍しくDolby Cinemaで上映するということで気になって観たところ、ハリウッドのアクション映画並み、またはそれ以上の圧倒的で大迫力な音響でびっくりした。それに色んなところから音が聞こえてくるし、ヘリも飛び回っているので、Dolby Atmosをふんだんに利用しているのがよく伝わってくる。なお、この作品はDolby Cinema以外ではDolby Atmosでの上映がないので、もったいなく感じる。それはともかくとして、個人的に「Fukushima 50」はぜひ映画館で観てほしいと思った。この圧倒的な音響は、とてもホームシアターで再現できるものではない。

「ジョーカー」で要所要所流れるチェロによる劇伴では、低域が座席を震わさんばかりに深く響いていた。また、ショーの観客の拍手や、抗議デモの声が、Dolby Atmosによって劇場内のあちこちに定位していた。とはいえ正直本作では音が動いたり天井から音が出たりする要素がほとんどないので、(Dolby Atmosはオーバースペックでは? 7.1chぐらいで十分では?)と思っていた。ところが改めてDolby Cinemaで2度目の鑑賞をすると、フロントワイドスピーカーに相当する位置のスピーカーを、観客の声や拍手にあてていることが分かった。これにより、若干の没入感が加わっていた。

「マトリックス」は冒頭で雷雨が続いているし、上空をヘリが飛ぶシーンもあって、Dolby Atmosの天井スピーカーとの相性の良さを感じられた。

なお、Dolby Cinemaの音響はどちらかというと映画向きで、音楽的にはIMAXほど美音でないので、比較するとやや物足りなさを感じてしまうのが少し残念だ。


作品の持つパワーがDolby VisionとDolby Atmosによって余すことなく収められ、それらを最高の状態で体験するために設計された空間で解き放つ。謳い文句通りの、まさに「映画に命を宿す場所」。それがDolby Cinema。

IMAXレーザー/GTテクノロジー

109シネマズ大阪エキスポシティ シアター11(IMAX)の入り口

IMAXと言えばまずはなんと言ってもかなりの大画面が特徴。しかし109シネマズ大阪エキスポシティにあるIMAXは、ただのIMAXではない。4Kレーザープロジェクターと独自の12chサウンドシステムを採用するIMAXレーザーだ。IMAXレーザーの中でも、4Kレーザープロジェクターを2機使用し、IMAXカメラの画角(1.43:1)を全部表示しきる26m×18mの巨大スクリーンを擁する、IMAXレーザー/GTテクノロジーだ。

後方から見た109シネマズ大阪エキスポシティのIMAXレーザーGT。
スクリーンの横幅は26mあり、高さは6階建てビル相当の18m。

なおIMAXレーザーを導入する劇場は増えてきてはいるが、IMAXレーザー/GTテクノロジーを導入している劇場は日本では大阪の109シネマズ大阪エキスポシティと東京のグランドシネマサンシャインしかない。


これだけの広さのスクリーンがあると、かなり没入感が高まる。特に「ダークナイト」「ダンケルク」といった、IMAXカメラで撮影された1.43:1の画角のシーンがある作品では特にそう感じる。

「ダンケルク」では戦闘機が海上を飛ぶシーンが何度かあるのだが、視界いっぱいに広がる空と海の映像は圧巻だった。視界がほぼ映像で満たされ、映画の中に入っていくような感覚すらあった。

上記2作品のうち1.43:1ではないシーン、あるいはそれ以外の作品においては黒帯が出ていたが、そもそも画面が大きいので画面外があまり視界に入らない。つまり黒帯が黒浮きしているのが気にならない。

これだけ大画面ながらもさすが4Kツインレーザープロジェクター、明るく繊細で色鮮やかな映像を堪能することができる。


IMAXといえば画面サイズに目が行きがちだが、音響もかなりすごい。おそらくDolby Cinemaよりも大音量なのに、それでもなお破綻する様子がない

「ターミネーター:ニュー・フェイト」のアクションシーンを大音量で鳴らしていても全く音が歪んだり割れたりする様子がない。低音はバスレフっぽいボーボーした感じではなく、ドスドスと適度に締まった音がしっかり伝わってくる。

その低域の凄さは「ダークナイト」「ダンケルク」で特に真価を発揮していた。体をん持ってるんじゃないかと思うぐらい力強い低域が大音量で出ているにも関わらず、音がきちんと締まっているため、効果音が服を揺らし胸を打つ(物理)。

それでいてセリフはかなりクリアだし、音楽を鳴らしてもいい音がする。特に「ジョーカー」のチェロ曲をかなり綺麗に鳴らしていたのが印象的だった。オーディオは難しいもので、あるものに特化すると何かが犠牲になりがちだが、IMAXの12chシステムはあらゆる音源を理想的な音で鳴らし切る。まさにオールラウンダーだ。

109シネマズ大阪エキスポシティのIMAX用スピーカー

そんなIMAXはとにかく品質に自身を持っている。IMAXの入り口入ってすぐのところにこういった看板が出ているぐらいだ。

また、同様の内容のものが本編終了後にも表示される。流れは確か

(予告編)

IMAX “Never Compromise”


(予告編)

IMAX “Infinite Worlds”


IMAX Countdown


(本編)

「大切なのは品質です」表示

という順のはずだ。こう見るとIMAXは一回の上映で流すトレーラーが多い。なお映画泥棒はない。


IMAXはとにかく大画面、大音量、美音によるゴージャスな映画体験ができる。エキスポシティは交通の便が不便なところにあるのだが、それを補って余りある体験ができる。

まとめ?

繊細な映像、豊かな色彩、そして圧倒的な明るさや劇場内を含めた黒へのこだわりによる高いコントラスト比で魅せるHDRなど、リッチな映像体験ができるDolby Cinemaか。
とにかく圧倒的な大画面で大迫力なIMAXレーザー/GTテクノロジーか。

動き回るダイナミックなサウンドのDolby Cinemaか。
大音量なのに美音のIMAXレーザー/GTテクノロジーか。

ドゥーーンッ!と深く響く低音のDolby Cinemaか。
ドスドスと適度に締まった低音のIMAXレーザー/GTテクノロジーか。

甲乙つけがたいので、気に入った作品は両方で観ることをおすすめする。投げやりに感じるかもしれないが、どちらも満足感は高いはずだ。強いて言えばIMAXレーザー/GTテクノロジーの方が意識しなくても分かりやすい凄さがある。とは言っても「アナと雪の女王 2」のような完全にDolby Cinema案件な作品もあるので、やはり両方で観たほうが良いかもしれない。そして一緒に映画館沼にハマりましょう (は?)

井戸水

ガジェット、オーディオ、映画館が好きな情報系の大学生。

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