Back To The Futureの複雑なサウンドトラック事情

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概要

Back To The Future のサウンドトラックはバリエーションが複数あって複雑なので、自分なりにまとめてみる。

ラインナップ

まず、どれだけの種類があるのか表にまとめる。なお、この記事では1作目の Back To The Future (1985) を便宜上 Part I と表記している。

以上の通り、同じ作品でもいくつかバリエーションが存在する。それぞれの違いについて、詳しく解説する。

Back To The Future (Part I)

CDを普通に探すと新品中古問わずMCA版が多くヒットするが、これにはほとんど挿入歌しか入っていない。とはいえ挿入歌がメインになっているのは、どうやらこの時代のサウンドトラックではよくあることのようだ。挿入歌と劇伴が両方一緒に入ったアルバムであるせいか、単にマスタリングの質の違いなのか、後述するIntrada版よりも劇伴の音質はあまり良くないと感じた。これらの理由から、入手性はかなり高いが、劇伴が欲しい人にはあまりおすすめできない。

MCA版に収録されている劇伴は、後述するIntrada版における Marty’s Letter、It’s Been Educational / Clocktower (後半の Clocktower シーケンスのみ)、’85 Lone Pine Mall の3曲のメドレーである Back To The Future Overture と、メインテーマだけである。なお、本編のエンドクレジットで流れたメインテーマはイントロとアウトロが一部省略されているが、サントラではMCA版でもIntrada版でもフルで収録されている(Hill Valley Entertainment版は未所持のため不明)。

MCA版のサントラでは、ダンスパーティの劇中曲はマーティや架空のバンド Marvin Berry & The Starlighters が演奏しているバージョンが収録されている。Johnny B. Goode に関しては、なぜか(?)マーティが演奏中に暴れない。なお、Part IやIIにて1955年の街並みとともに流れる Mr. Sandman という楽曲は収録されてれていない。

Mr. Sandman やダンスパーティで流れた曲の原曲は、配信限定(?)の Soundtrack Highlights From “Back to the Future” というアルバムに収録されている。これには劇伴が一切含まれていない上に、どこがリリースしているのかわからず公式のものかどうかもわからないため、上記の表には載せていない(Hill Valley Entertainment版も非公式の可能性があるが、一応劇伴が入っているため載せている)。

Intrada Special Collectionは、挿入歌でなく劇伴を聴きたいファンの要望に応えた数量限定版。2枚組CDで、1枚目 (The Complete Original Motion Picture Soundtrack) には全ての劇伴が収録されていて、2枚目 (The Creation of a Classic… Alternate Early Sessions) にはAlternatesという別バージョン(初期?)の音源や、未使用曲が収録されている。なお、劇中歌は一切収録されていない。音質はMCA版より良く感じた。現在は売り切れており、公式サイトからも消滅(そのため、リンク先はInternet ArchiveのWayback Machineのもの)。中古相場はeBayよりヤフオクのほうが安いことがある。

Intradaの Expanded Edition は、Intrada Special Collection の1枚目のみを再販したもので、これは今でも購入可能(オフィシャルストアでは記事執筆時点で一時的に在庫切れ)。ハイレゾ音源も販売中(mora / e-onkyo)。

Hill Valley Entertainment版は完全版 + Alternates + 未使用曲。公式サイトすら見当たらず、情報が少なすぎて詳細不明。非公式盤だとか、プロモ盤だとか色々言われている。eBayやヤフオクでちょくちょく見かける。

Part Iのサントラに関しては、曲目、入手性、音質の観点から、Expanded Edition が個人的におすすめ。

なお、定額聴き放題サービスの一部(Spotifyで確認、YouTube Musicでは未確認)では、Part IのMCA版の一部楽曲(主題歌の The Power Of Love、Back in Time、メインテーマの Back to the Future)が配信されているが、(少なくともSpotifyでは)ジャケットが曲によって異なるので、おそらく他のアルバムからの寄せ集め?な気がする。

Back To The Future Part II

Part I同様CDを普通に探すと新品中古問わずMCA版が多くヒットするが、Part Iと違って通常版にもそれなりに劇伴が含まれているし(ただし完全ではない)、音質もそこそこ良いため、MCA版でも十分といえば十分。なお、Part IIのMCA版には Beat It などの劇中歌は入っていない。

Intrada版は2枚組で、全劇伴 + Alternates。Intrada のサイト上には特に書かれていないが、これも Intrada Special Collection の一つである。音楽配信サービスでは同じジャケットのものが Expanded Edition として配信されているが、Part IのIntrada版 Expanded Edition とは違い、Intrada Special Collection の1枚目に収録されている曲はもちろん、2枚目に収録されているものも全て含まれている。要はCDかDL販売かの違いだけだと思われる。どちらも今でも購入可能。音質に関しては、MCA版のサントラの時点であまり音が悪く感じられなかったので、Intrada版に音質的なメリットはないように感じられた。なお、Part Iと違ってハイレゾ音源は現在販売されていない。

Intrada版のCDを購入するならIntrada直販Amazon.comのIntradaストアで。どちらも日本への直送に対応している。発送方法によってどちらが安くなるかが変わってくるので都合の良い方で。Intrada直販だとUSPSで届いた。ちなみに中古相場は謎のプレミアがついており、新品を買うよりも高かったりする。

Hill Valley Entertainment版は完全版 + Alternates + 未使用曲だが、Part I同様詳細不明。

Part IIに関しては、個人的には全部聴けるIntrada版をおすすめしたいところだが、入手性や価格の観点からはMCA版でもいいとは思う。なお、定額聴き放題サービスでは、Expandend Edition の一部楽曲のみが配信されている。

Back To The Future Part III

Part IやIIとは違い、Part III のサントラは Varѐse Sarabande Records が販売している。

通常版に収録されている楽曲は、基本的には実際に映画で使われた音源だが、Indians という曲のみ、映画では使われていないバージョンが収録されている。そしてそれは後述する The Deluxe Edition の2枚目に Indians (Alternate No. 2) として収録されている。なお、通常版は音が悪く感じられた。

The Deluxe Edition は、通販/配信/ストリーミングサービスでは 25th Anniversary Edition と表記されているし、ジャケットにもそう書かれているが、Varѐse Sarabande のサイトには The Deluxe Edition と書かれているので、恐らくこちらが正式名称だと思われる。

The Deluxe Edition の1枚目に収録されている楽曲は、実際に映画で使われた全劇伴で、2枚目は Alternates と Source Music (西部開拓時代風アレンジ曲)。先程 Indians (Alternate No. 2) は通常版の Indians という曲と対応すると述べたが、その他の Alternate No. 2 とつく楽曲に関しては、通常版とは対応しない。具体的には、

  • Doc Returns (Alternate No. 2) に関しては、通常版の Doc Returns とは異なるバージョンである。通常版の Doc Returns はThe Deluxe Editionの Doc Returns と同じバージョンで、実際に映画で使われたもの。
  • I’m Back (Alternate No. 2) と Into The Mine (Alternate No. 2) に関しては、そもそも通常版に該当する曲がない。

The Deluxe Edition のCDは2015年に発売された5000枚限定のものだが、2020/6/21現在も公式通販サイトに在庫がある。悲しい。ちなみに通常版より音がいい。これに関しては Varѐse Sarabande の直販サイトがおそらく最安で、日本への直送にも対応。なお、こちらも中古相場は謎のプレミアがついており、新品を買うよりも高い。

通常版には ZZ Top の Doubleback のダンスパーティアレンジ版、Doubleback (Acoustic Instrumental Version) が収録されている。そして、The Deluxe Edition にはその Extended Version が Source Music として収録されている。だが、エンドクレジットで流れるオリジナルの Doubleback はどのサウンドトラックにも収録されていない。

通常版に関しては、「DSDリマスタリング版」なるものが存在する。海外では見かけないし、作業自体も日本で行われたらしいので、日本のみのリリースかもしれない。

※本音源は、CDをマスターとして「MSマスタリング」という手法を用い、DSDリマスタリングした作品になります。マスタリングは日本で行なわれました。

Alan Silvestri / バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3(24bit/96kHz) – OTOTOY

CDで入手可能なほか、DL販売ではハイレゾ版もある。なぜかmoraでは配信終了しているが、OTOTOYでは引き続き入手可能。DSDリマスタリングといっても、販売されている音源はPCM音源のみ。

【DSDリマスタリングでの聴き所】

元CDの特徴
・1990年のリリース、音圧は低く (RMS -14db 代)、線もか細い (年代的には仕方ない)。
・録音自体は悪くなく、広がりや奥行きも自然。
・強奏部はまだ良いが、弱奏部はかなり音圧低い。

今回のマスタリングの聴き所
・元CDの音圧がかなり低いので、音圧を上げつつ、厚み (主に中低域) も加えている。
・大ヒット映画なので観た人の思い出や思い入れを壊さぬよう、音圧を上げつつも今時のサウンドにはしていない。
・逆に音圧が低くか細いと懐かしくてもガッカリしてしまうと思うので、意識させない程度に音圧を上げ、サウンドも奥行き感を加え立体的に。
・弱奏部も弱いなりに聴きやすくなっている。

Alan Silvestri / バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3(24bit/96kHz) – OTOTOY

…などなど色々書かれていが、実際OTOTOYで購入した通常版のDSDリマスタリング版のハイレゾ音源 (96kHz / 24bit) と公式がリマスタリングした(と思われる) The Deluxe Edition のCD (44.1kHz / 16bit) を聴き比べてみたところ、The Deluxe Edition の方が音が良いように感じられた。

Hill Valley Entertainment版は完全版 + Alternates + 未使用曲だが、Part I/II同様詳細不明。

Part IIIに関しては、曲数、音質、価格のバランスから、The Deluxe Edition をおすすめする。なお、定額聴き放題サービスでは、通常版も The Deluxe Edition も全曲配信されている。

Back To The Future Trilogy

Back To The Future Trilogy は Part I〜III、及び今はなき The Ride のアルバム。Part IIIのサントラと同じく Varѐse Sarabande Records が販売している。

  • Part IとIIの音源は Alan Silvestri / 指揮、The Outatime Orchestra / 演奏の映画で使われたものではなく、John Debney / 指揮、Royal Scottish National Orchestra / 演奏による新規録音されたもの。
  • Part IIIの音源は、なぜか Alan Silvestri / 指揮、The Outatime Orchestra / 演奏の、実際に映画で使われた音源(要はサントラからの抜粋)。
  • The Ride の音源は Alan Silvestri / 作曲、John Debney / 指揮、Royal Scottish National Orchestra / 演奏の、実際にアトラクションで使用されていたもの。

The Ride では待機列の映像やアトラクション終了後の BGM として Part I〜III の曲がいくつかそのまま流用されていた一方で、Doc Returns など一部楽曲がアレンジされていた。が、残念ながら今の所 The Ride 用の新規楽曲で発売されているのはメインテーマのみである。Trilogy には新規録音の Doc Returns も含まれてはいるが、The Ride に使用されているものとはまた異なる。

ちなみに Back To The Future Trilogy で検索すると、同名のCDはもちろん、三部作全てを収録した同名のDVD / BD BOXもヒットするので注意(Trilogyは三部作という意味)。

こちらも Part III 同様「DSDリマスタリング版」なるものが存在し、CDもハイレゾ音源もあるが、moraでは配信終了、OTOTOYでは引き続き入手可能

余談

この記事では解説しなかったが、ここで紹介したサントラは販売元や販売年によって微妙にジャケットや盤面のデザインが変わっている。Back To The Future Music maniax というサイトに詳しく乗っているので、興味のある方はぜひ。

井戸水

ガジェット、オーディオ、映画館が好きな情報系の大学生。

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