Intel NUC (NUC8i3BEH) を買いました
新しい PC が欲しい! 〜やたら長い前置き〜
あれは VAIO Z (2016) で Android Studio を使用していた日のこと。Chrome で調べ物をしていると、ついついタブを多く開きすぎてしまう。いくつかタブを開いていると、聴いていた音楽が突然止まった。Music Center for PC が落ちていた。そして Android Studio に戻るとフリーズしている。どうやらメモリ不足のようだ。
音楽を聴かず、かつ、タブを開きすぎないよう注意して作業を続行すると、今度は Chrome を使用している裏で、Android Studio が何の前触れもなくタスクキルされた。こまめに保存するタイプなので幸いデータの消失はなかったのだが、これが作業中に起こったら、と思うとゾッとする。たとえデータの消失がなくとも、Android Studio を開きなおすだけでも億劫だ。
PC のメモリは 8GB で十分。そう思っていた時期が私にはありました。少なくとも VAIO Z を購入した3年前はそう感じていた。
所有している VAIO Z はオーダーメイドで、16GB にすると追加で3万円かかる。オンボードなので増設不可とはいえ、当時は 16GB にする必要性を感じていなかった。実際、メモリ 8GB の VAIO Z でも今まで足りないと思うことはほとんどなかった。
それが最近になって急にメモリ不足を感じるようになった。IDE に頼らずエディタだけでやればもう少しマシなのかもしれないが、問題は Chrome。下手すると 8GB ぐらいは Chrome だけで食い尽くされることもある。今まで 8GB で不足を感じたのは、だいたい Chrome が原因となっている。
ただ、ズブズブとハマった Google のエコシステムから今更抜け出せるはずもなく、他のブラウザに移ろうという気は起きなかった。そうなると、メモリを増やすしかない。しかし、VAIO Z のメモリはオンボードのため、新しい PC を購入するしか選択肢がなかった。
話は変わるが、先日ついに音楽ファイルだけで 100GB を突破した。その結果、VAIO Z のストレージが音楽に圧迫されていた。もちろんあまり使わないものは外部に置いておくなどの工夫はしたが、それでも限界があった。肝心の音楽ファイルは内部ストレージに置いておかないと、Music Center for PC や Media Go で管理するのが面倒になる。
VAIO Z の SSD は当時 128GB、256GB、512GB から選べたのだが、128GB は流石に少ないだろうということで、+2万円で 256GB を選択した。512GB だと 128GB に+6万円 (= 256GB に+4万円) 追加する必要があり、流石に厳しかった。
なんせ VAIO Z に搭載されている「第二世代ハイスピード SSD」は Samsung SM951 という、950 PRO の先祖にあたる M.2 NVMe の SSD だし、そもそも当時は SSD 自体まだ高かった。最近になって SSD の値段がだいぶ下がったので、いつかは SSD を換装しようと考えていた。
ただ、最近になって上記のメモリ不足問題も発生したため、大容量メモリと大容量 SSD を積んだ PC を用意し、そこに滅多に使わないソフトを移し、ついでに音楽もその PC で管理してしまえばいいのでは、と考えた。
個人的に VAIO Z は大好きだ。その唯一無二性に心底惚れている。未だに乗り換え先を見つけられていないし、かと言って後継機も出ないため、難民と化している。LIFEBOOK UH は軽くてキーボードも好みなのでいいなぁとは思っているのだが、ポスト VAIO Z と言い切れるかは微妙なところだ。
なかなか買い換え先が見つけらないうちに、いつしかソニーストアの3年ワイド保証は切れ、その直後ぐらいに iGPU が死んだ。修理の見積もりを出したところ、なんと76,896円。VAIO Z 難民な自分にとっては保守部品があるうちに修理に出す他なかった。それになんだかんだ初めて自分で購入したPCだし。
それを横目に他の PC はどんどん進化していき、羨ましいことに USB Type-C、USB PD、指紋センサー、SIM スロット、HDMI 2.x 等を備えるようになっていった。
まともに使える PC が VAIO Z しかないため、外でも家でも使用しているのだが、USB 端子が HDMI 端子の反対側にあり、家では両方使うため両側からケーブルが出ていて見た目がよろしくない。また、USB ハブの相性問題や USB NIC が認識されないなどのトラブルがちょくちょく起きていた。
更に、家にいるときは AC アダプターを接続しっぱなしなので、バッテリーの劣化が怖い。VAIO はいたわり充電を搭載してはいるのだが、外出先でバッテリーを切らしたくはない。かと言って頻繁にいたわり充電の有無を切り替えるのも面倒だし、そもそも切り替え自体を忘れてしまいそうだ。
やたら導入部分が長かったが、以上の理由からデスクトップ PC がほしいと思うようになった。
PC の選定
ただ、デスクトップと言っても既製品を買う気はあまり起きなかった。自分の思うように組みたい。BTO も検討したが、「これだ!」というのがなかった。自作 PC は小中学生のころやろうとして情報を集めていたのだが未遂に終わり、かれこれもう5年以上情報を収集していないため、基本知識はあるが、最新パーツの情報に疎い。そもそもタワー型を組んでも置く場所がない。
そこで Intel NUC にたどり着いた。調べてみると、Core i シリーズを積んだ一番安いモデル (NUC8i3BEH / NUC8i3BEK) は i3 の U 型番とはいえ、TDP は 15W ではなく 28W の i3-8109U を積んでいた。メモリ不足と SSD 不足は感じていたが、CPU / GPU 性能に関しては VAIO Z の i5-6267U で特に不満はなかった。i5 から i3 になるとはいえ、同じ TDP の2世代先のものなら大丈夫だろうと思い、これにした。
NUC の型番で末尾が H となっているものは M.2 スロットと2.5″スロットを両搭載したもので、末尾 K は M.2 スロットのみを搭載した薄型モデルなのだが、なぜか両搭載した末尾 H のほうが安かった。特に厚みは気にしないので、NUC8i3BEH を選択した。
メモリは 16GB にしようか 32GB にしようか迷ったのだが、32GB にしてもそこまで高くなるということはなく、それにまたメモリ不足に悩まされるのもアレなので、32GB を選択した。メーカーをどこにするか迷って Twitter で調べたところ、どうやら G.SKILL が信頼性に定評があるようだ。
SSD に関しては、すっかり VAIO Z の SM951 に慣れてしまっていたので、今更メイン機を SATA の SSD にしようとは思えなかった。M.2 NVMe の SSD の中で、高速かつ信頼性が高いものを調べたところ、Samsung 970 EVO Plus、WD Black、SanDisk Extreme Pro が候補に上がった。どれも同じような値段だが、この中で 970 EVO Plus のシーケンシャルライトの速度が圧倒的だったので、これに決定した。
購入したパーツは以下の通り。
パーツ | 価格 (円) |
---|---|
Intel NUC8i3BEH (Core i3-8109U) | 34,242 |
G.SKILL Ripjaws F4-2666C18D-32GRS | 15,981 |
Samsung 970 EVO Plus MZ-V7S500 | 13,111 |
合計 | 63,334 |
合計6万ちょいでメモリ 32GB に 970 EVO Plus の 500GB。SSD に関してはメモリ不足が起きなくても (= NUC を買わずとも) VAIO Z 用に買おうとしていたので、メモリ不足による出費はせいぜい5万ほど。なにげに VAIO Z の修理代より安い。
CPU が i3 の U 型番なのが少しアンバランスにも思えるが、自分にはこれで十分だ。むしろこういう割り切った構成にできるのも自作のいいところだ。
ということで買いました。
「悩んでも解決しない」「これからも Android Studio が落ちるようで本当にいいのか」「思い立ったが吉日」「迷う理由が値段なら買え、買う理由が値段ならやめとけ」「早くしないと増税が」「土日のうちに組んで環境構築までしてしまいたい」などと自分に言い聞かせた。
予算は 4K 環境構築の費用を割り振った。さよなら 4K モニターや新 4K8K 衛星放送対応のレコーダーたち。といっても正直 4K 環境は「あったらいいな」程度で急ぎではないので、PC の方にお金を回したのは後悔はしていない。
早速組み始める。と言ってもメモリと SSD を取り付けるだけなので大したことはない。
むしろ一番苦労したのは SSD へのヒートシンクの取り付けだ。NVMe はとにかく発熱がすごいので、念の為買っておいた。
ヒートシンクを SSD に取り付け…
それを M.2 スロットに取り付けて…
メモリを取り付け…
閉めて完成。 あれ…うまく閉まらない…?
原因は蓋側についている、おそらくSSDの熱を吸収するためのゴムのようなものが、ヒートシンクと干渉していることだった。無理に閉めようとすると SSD がしなってしまうので、せっかく買ったヒートシンクを外さざるを得なくなった。これで冷えないようならゴムを外してヒートシンクを付けてみることにする。
今度こそ完成した。ということで電源オン。
特に相性問題や取り付けミス等もなく、普通に各デバイスが認識されていて安心した。
OS は弊大学が契約している Azure Dev Tools for Teaching から Windows 10 を無料で入手することができた。ありがたい。それ以外にも Windows Server 2019 Standard や Visual Studio Enterprise、Visio Professional、Project Professional といったものまで無料で入手可能な上、卒業後も使い続けることができる (卒業後は再インストールができないらしい)。
Windows のインストールが始まった。この光景を見ていると、Windows Welcome music (title.wma) として知られる Velkommen を聴きたくなる。さすが 970 EVO Plus、この曲 (5分24秒) が終わるまでにインストールを終えてしまった。
1903 なので、キッティングの仕事で慣れ親しんだ、初回セットアップ時の「こんにちは! コルタナと申します! (大声)」はなかった。
こうしてメモリと SSD だけ無駄に強い PC が手に入った。
970 EVO Plus の速度を測ると、公称値通りの値が出た。今までメインだった VAIO Z の SM951 でも特に遅いと感じたことはないのだが、それを凌駕する速度が出ている。っょぃ。
SM951 (VAIO Z) | 970 EVO Plus (NUC) |
---|---|
Android Studio、AVD、Chrome 約20タブ、メール (UWP)、LINE、Discord、Slack、Music Center for PC を同時に使用してみたが、これでもようやく 16GB を超えた程度なので、32GB で困ることはまずないと思われる。32GB にしておいてよかった。
気になる CPU 性能だが、i3-8109U が意外と強く、これだけ複数アプリを使用している状態でもストレスを感じさせることなくスムーズに動いてくれる。
スペックが近そうな CPU の PassMark のスコアを調べて昇順に並べてみたが、これが本当なら i3-8109U は強い。なんとなく i5-6267U と同等以上の性能を持っていそうという直感で購入したのだが、間違いではなかった。それどころか、i5-6267U の後継の i5-7267U や、i5-6267U の上位モデルの i7-6567U すら凌駕している。
CPU | PassMark |
---|---|
i5-7200U (15W) | 4567 |
i5-6267U (28W) | 4888 |
i5-7267U (28W) | 4999 |
i3-8130U (15W) | 5025 |
i7-7500U (15W) | 5122 |
i7-6567U (28W) | 5574 |
i3-8109U (28W) | 6157 |
i7-7567U (28W) | 6464 |
あとデスクトップになったことで、VAIO Z の配線問題やバッテリー問題も解決だ。
初の自作 PC は SSD のヒートシンクの件以外特に問題なく完了した。増税前に満足度の高い買い物ができてよかった。