Android 版 Dolby Atmos / Dolby Audio バージョン一覧

はじめに

この記事は、Android 端末の Dolby Atmos 等について、今まで個人的に調査・検証してきた中で得られたデータのうち、主にバージョン情報を中心に集計したものである。

この記事単体で読むというよりは、調査・検証時に必要に応じて参照したり、他の記事や X でのポスト等の補足資料としての活用を想定している。そのため、この記事の内容をすべて理解しようとしたり、ましてや覚えたりする必要はない (筆者もできていない)。

検証機を持っていなかったり、購入した検証機では思うように情報収集ができなかったりといった理由で、データには欠けがある。新情報が手に入り次第、随時更新予定。表の見栄えについては試行錯誤中。用語の説明など詳細については後日解説記事を出す予定。

Android の空間オーディオの調査・検証については以下の記事にて。

Google Pixel の空間オーディオを調査

Dolby Audio Experience (DAX)

世代・エディション一覧

Android 端末において、Dolby Atmos や Dolby Audio などと呼ばれているものの実態は、上記の Dolby Surround (DS1)、Dolby Audio X2 (DAX2)、Dolby Audio X3 (DAX3)。これらについての詳細は後日解説予定。

以降、技術名称に関しては略称の「DS1」「DAX2」「DAX3」で呼ぶ。

なお、DS1 において、Dolby Digital (DD) / Dolby Digital Plus (DD+) の対応有無を区別する必要があるときは、「DS1 (DD/DD+ 対応)」「DS1 (DD/DD+ 非対応)」のように表記する。

また、DAX3 において、Galaxy や Pixel にのみ搭載されているものを区別する必要があるときは、それぞれのバージョン表記の先頭部分を取って「DAX3_S」「DAX3_G」のように表記する。

バージョン確認方法

古いものだと設定アプリやサービスアプリのバージョンを参照すれば良いが、設定アプリがない機種も存在するし、最近は設定アプリのバージョンがあてにならなくなってきている。

Galaxy を除く Android 10 以降の DAX3 や、Android 11 以降の DS1 は、ro.vendor.dolby.dax.version の値を見るのが確実。この値は build.prop に記載されているため、以下のいずれかの手段で確認可能。

• getprop コマンドで取得
  • 実機を持っていれば一番手軽
  • 値を取得できない機種が多い
• 実機で build.prop を見る
  • getprop より確実
  • 原則 root 化が必要
• ファームウェアを入手して build.prop を見る
  • 実機不要
  • getprop より確実
  • arrows や AQUOS 等、ファームウェアが入手できないものもある

getprop で取得するコマンド

adb shell getprop ro.vendor.dolby.dax.version

出力例:

DAX3_3.7.1.0_r1

取得できない場合、ログには以下のような警告が出る。

W libc    : Access denied finding property "ro.vendor.dolby.dax.version"

実機やファームウェアで build.prop を見る場合、基本的には /vendor/build.prop を見ればいいが、OPPO / OnePlus 端末では /my_product/build.prop だったりと、メーカーによって異なる場合がある。

ファームウェアの中のファイルは大抵 7-Zip で開くことができる。うまく開けなくても、右クリックメニューから # 付きの「開く」オプション (parser mode) を使うと、開くことができたりもする。場合によっては 7-Zip ZS が必要な場合も。

Galaxy は ro.vendor.dolby.dax.version の定義はなく、純正の設定アプリもないが、ログにバージョンが出るようになっている。(他メーカーでは出ない)

確認方法: 一旦端末を再起動しロック解除後、なるべく早いタイミングで以下のコマンドを入力して待機

adb logcat -s DlbDlbEffect:I

出力例 (抜粋):

I DlbDlbEffect: getDescriptor() Returning descriptor for DAX3_S_3.9.0.0_r2
I DlbDlbEffect: create() Created effect DAX3_S_3.9.0.0_r2

バージョン一覧

表中の Unified Decoder Converter (UDC)、Dolby AC-4 decoder、Dolby Audio Processing (DAP) のバージョン確認方法や集計は後ほど。

メーカーによっては古いものを使い続けている場合もある。(特に Sony と Xiaomi、時々 Lenovo / NEC)

DS1 (DD/DD+ 対応)

Android 9 向けの DS1_2.0.0.0_r1 にて、DAX3 由来の UDC 1.11.x や DAPv2 2.7.x がバックポートされ、Android 10 向けの DS1_2.1.0.0_r1 で少しアップデートされたが、それ以降はほぼ停滞している。

DS1 搭載 Android 端末は減少しており、Android 13 で DS1 を搭載している端末は見かけない。世界的に見ても最後の DS1 搭載端末と思われる Lenovo TAB6 (A101LV) は、Android 13 どころか Android 12 すら提供されていない。

Lenovo Tab K10 は Android 13 にする予定があった ようだが、実現しないまま セキュリティアップデートの終了日を迎えてしまった ため、OS アップデートも来ないものと思われる。

DS1 (DD/DD+ 非対応)

これを搭載しているのは、世界的に見ても以下の 4 機種しか見あたらない。

• ARROWS NX F-05F (Android 4.4.2 → 5.0.2)
• ARROWS NX F-02G (Android 4.4.4 → 5.0.2)
• ARROWS NX F-04G (Android 5.0.2 → 6.0.1)
• arrows NX F-02H (Android 5.1.1 → 6.0.1 → 7.1.1)

DAX2

原則 Dolby AC-4 非対応だが、Android 8.0 の Galaxy S9 / S9+ は DAX2.5.0.15_r1 を搭載しつつ Dolby AC-4 にも対応していた。Dolby AC-4 デコーダーとラッパーのバージョンはログに出ず不明なので、表にも載せていない。

Android 9 向けの DAX2_2.6.0.28_r1 にて、DAX3 由来の UDC 1.11.x や DAPv2 2.7.x がバックポートされている。

Android 8.0 以降を搭載して発売される Dolby Atmos 対応端末は基本的に DAX2 でなく DAX3 を搭載するようになっており、DAX2_2.6.0.28_r1 の提供は既存の DAX2 搭載端末へのアップデートでしか確認できていない。

DAX2 搭載機種の最後の世代は恐らく DAX2_2.6.0.28_r1 搭載の Axon 9 Pro、Razer Phone、Lenovo Tab E8 で、いずれも Android 10 にはなっていないため、Android 10 以降向けの DAX2 は確認できていない。

DAX3

サービスアプリのバージョンはすべて Android バージョンと同じなので載せていない。

DAX3 (for Samsung Galaxy)

バージョンに S (Samsung の S?) がついているのが特徴。この記事では、便宜上 DAX3_S と呼ぶ。設定アプリやサービスアプリはない。

DAX3 (for Google Pixel)

バージョンに G (Google の G?) がついているのが特徴。この記事では、便宜上 DAX3_G と呼ぶ。設定アプリ、サービスアプリ、Dolby AC-4 decoder、Dolby Audio Processing の設定ファイルはない。

設定アプリ

UI の変遷

スマホ UI

スマホ UI は大きく分けて 4 パターン存在する。この記事では、プロファイル切り替えの UI に着目して「リスト」「上半分タブ」「タブ」「ツマミ」と呼び分ける。

※ 掲載しているスクリーンショットには、スマホ UI を引き伸ばして表示しているだけのタブレットのスクリーンショットも含む。

リスト

(DS1)

(DAX2)

Android 7.x 以前の DS1 / DAX2 用。DS1 と DAX2 とで配色が異なる。

この世代はグラフィックイコライザーの箇所がビジュアライザーも兼ねており、表示されている罫線はビジュアライザーのためにある。見た目に反し、スマホ UI ではグラフィックイコライザーは 5 バンドしかない。

上半分タブ

(DAX2 / Android 7.x)

(DS1 / Android 8.x)

(DAX2 / Android 8.x)

Andoid 7.x 向け DAX2 の後期バージョン (DAX2.4.0.16_r1) で初採用。Android 8.x の DS1 / DAX2 で本格採用。DAX3 のタブ UI 風だが、リスト UI の調整項目の多さはギリギリ残っている UI。

プロファイルを切り替えても変わるのは画面の上半分のみであり、下半分は固定。そのため、グラフィックイコライザー、ボリュームレベラー、バスエンハンサーは全プロファイルで共通の設定となっている。(リスト UI では個別設定だった)

ビジュアライザーは廃止され、グラフィックイコライザーは 5 バンド → 10 バンドに変更。DAX2 では、リスト UI の頃には存在しなかったバスエンハンサーの設定が追加。

DAX2 ではダイナミックプロファイルが追加されたかわりに、カスタムプロファイルが1つに減る。

タブ

(DS1 / Android 9)

(DAX2 / Android 9)
(アクセントカラーが明るい緑なのは Razer によるカスタマイズ)

(DAX3 / Android 8.x)

(DAX3 / Android 10)

DAX3 で初採用。DS1 / DAX2 も Android 9 以降はこれになる。上半分だけタブの UI とは違い、全機能がプロファイルごとに設定可能ではあるが、そもそも設定がほとんど弄れなくなっている。ゲーム、ボイスプロファイルが画面上からは消える。

ダイアログエンハンサーが単純なオン / オフからスライダーに変化。なおダイアログエンハンサーの設定があるのは DAX3 のみで、DS1 / DAX2 では画面上からはなくなっている。DAX2 はバスエンハンサーの設定が残っている。

ヘッダー、ダイナミックプロファイルの説明文、オフにした時の Dolby 〇〇 はバージョンによってころころ変わる (詳細は後ほど)。また、バージョンによっては「インテリジェントイコライザー」だったり「インテリジェントトーン」だったりする上、これらのプリセットの名称も途中で変わる (こちらも詳細は後ほど)。

ツマミ

(DAX3 / Android 10)

(DAX3 / Android 11～12)

(DAX3 / Android 13～14)

Andoid 10 向け DAX3 の後期バージョン (DAX3_3.5.6.11_r1 / アプリバージョン: 10) で初採用。Android 11 以降の DAX3 で本格採用。DS1 は Android 12 でもタブ UI のまま。

プロファイルの切り替え部分がオーディオ機器のツマミ (ノブ) のようにも見えるのでこう呼んでいるが、実際にはつまんで操作するわけではなく、単にプロファイル名をタップするだけ。

Dolby Atmos (Dolby Sound) をオフにした際のメッセージはなくなり、リスト UI 同様グレーアウトするようになった。従来はグラフィックイコライザー中心の UI だったが、この世代ではグラフィックイコライザーは「音楽」「カスタム」プロファイルにしか存在しない。

Android 11 ～ 12 では、DAP MOBILE v1.3 で追加された「ステレオワイドニング」「リバーブを除去」の設定が出現。Android 13～14 では「カスタム」プロファイルが消え、「ボイス」プロファイルが復活したため、「ステレオワイドニング」「リバーブを除去」は設定できなくなった。

Dolby Atmos

音声や会話を一語一語はっきりと聞き取れるプロファイルを利用しやすいように、「カスタム」が削除となり、「ボイス」が追加となりました。

※カスタムの設定内容は引き継げません。

arrows N F-51C Android™ 13 OSバージョンアップ | FCNT合同会社

大型タブレット UI

スマホ UI ほど大きなレイアウト変更はない。スマホ UI で言うところの「ツマミ」世代ではタブレット UI 自体ない。

スマホ UI「リスト」世代

(DS1)

(DAX2)

スマホ UI と違ってグラフィックイコライザーは 20 バンドある。

スマホ UI「タブ」世代

(DS1 / Android 11)

(DAX3 / Android 10)

スマホ UI 同様グラフィックイコライザーは 10 バンドに変更。

小型タブレット UI

スマホがリスト UI だった頃は、小型タブレット用 UI が存在していた。

(DS1)

(DAX2)

バージョン一覧

アプリ名は、機種や言語設定により異なるため、あくまで一例。

パッケージ名は似たような名前が多いが、数字の “2” がどこにあるか、”UI” が大文字か小文字かで全く異なる。

DS1 (DD/DD+ 対応)

DS1_2.1.0.0_r1 以降のアプリのヘッダーに関しては、一旦リセット画面へ行ってから戻ると、なぜか表記が変わる。

DS1 (DD/DD+ 非対応)

DAX2

一部のダイナミックプロファイルの説明文が、英語では “Dolby Audio”、日本語では「ドルビーアトモス」になっているのは、掲載ミスではなく仕様。

DAX3

一部のダイナミックプロファイルの説明文が、英語では “Dolby Audio”、日本語では「ドルビーアトモス」になっているのは、掲載ミスではなく仕様。

各項目の詳細

上記の表に盛り込もうとしたが、あまりにも表が長くなるので個別に集計。

設定アプリ上のプロファイル

一部の Lenovo 端末では設定アプリから「カスタム」プロファイルが消されている。

各エフェクトの設定項目の有無、調整範囲

Xperia ではグラフィックイコライザーの調整範囲は +5dB ～ -5dB に変更されている。

インテリジェントイコライザー / インテリジェントトーンのプリセット

プリセットの ID はバージョンごとにバラバラで、以下の表に記載しているのは Android 10 以降のもの。Android 9 以下のものは、プリセットの ID 通りではなく、Android 10 以降のものと対応しそうなものが縦に並ぶようにしている。

設定アプリ 内蔵トレーラー

DAX3 にはトレーラーはない。また、DS1 / DAX2 も Android 9 以降はトレーラーはない。

Android 8.x 向け DS1 / DAX2 の設定アプリにはトレーラーが DS1 用と DAX2 用の両方が入っており、アプリ上では適切な方が再生されるようになっている。

DS1 (DD/DD+ 対応)

Owl City の Fireflies の MV を利用したデモは Dolby Mobile や Dolby PCEE (1:10～) 時代からの名残。Android 向け DS1 では MV の素材が約 42 秒間使用されている。この曲は現在 Dolby Atmos で配信されており (Apple Music Amazon Music)、なんとも感慨深い。

Spheres は、 劇場用のトレーラーである Sphere (s が付かない) の家庭版。Sphere は Dolby Surround 7.1 の他、35mm フィルムの Dolby Digital のデモにも使用され、Spheres は Dolby Digital Plus や Dolby TrueHD のデモに使用される。

DS1 (DD/DD+ 非対応)

UDC がないため、音声は AAC の 5.1ch になっている。Android の空間オーディオに対応していない限り、DAX では原則 AAC のバーチャライズはできないが (詳細)、設定アプリから上記のトレーラーを再生したときにはバーチャライザーが動作するようになっている。

DAX2

DAX2.5.0.15_r1 にトレーラーがあるかどうかは不明。

Amaze や Nature’s Fury (日本語版) は Dolby Atmos の定番トレーラー。両者とも映画館でも使用されている。

Amaze には LG OLED TV 向けに Dolby Vision + Dolby Atmos 版 も存在する。Nature’s Fury には、Dolby Cinema 版の Universe (日本語版 ドイツ語版 スペイン語版) や、民生用 Dolby Vision + Dolby Atmos 版の Core Universe も存在する。

ちなみに、Axon 7 には設定アプリとは別で、Amaze、Horizon (Short 版)、Leaf トレーラーが入っている。

サービスアプリ

DS1 (DD/DD+ 対応)

バージョンが Android ver. + α となっている箇所は、機種により異なる。

(例)

• Amazon
  • 4.0.3-7.5.1_user_5182520
  • 4.4.4-35.4.6.6_user_466001420
• FCNT
  • 4.0.4-F05E.20130626.163210
  • 4.4.2-F01F.20150107.044741
  • 5.0.2-eng-buildteam.20150910.184003
• 京セラ
  • 4.2.2-103.0.2500

DS1 (DD/DD+ 非対応)

バージョンが Android ver. + α となっている箇所は、機種により異なる。

(例)

• FCNT
  • 4.4.2-F05F.20150819.105712
  • 4.4.4-F02G.20150901.113048
  • 5.0.2-eng.zoe.20150811.105910
  • 6.0-eng.zoe.20160115.132149

DAX2

バージョンが Android ver. + α となっている箇所は、機種により異なる。

(例)

• Amazon
  • 5.1.1-22.6.0.5_user_605488420

DAX2.1.5.20_r1-AMZ は Amazon Fire タブレット向け。上記の他、DAX2.3.a.12_r0 の存在も確認しているが、色々不審な点が多いため保留中。Axon 7 と Razer Phone を見た限りでは、Android 8.x 向け DAX2 にはサービスアプリは存在しなかった。

DAX3

一部の OPPO / OnePlus 端末では APK 名が daxService_v3_6 となっていたりする。

Dolby Audio Processing (DAP) 設定ファイル

ファイル名とディレクトリ

バージョンやメーカーによって様々。機種によっては存在しない。

ディレクトリ

• /vendor/etc/dolby
  • 最近は基本ここにある
• /vendor/etc
  • 古めのものはこちら
• /odm/etc/dolby
  • 一部の OPPO / OnePlus 端末
  • 一部の Xiaomi 端末 (機種によっては /odm/etc/dolby と /vendor/etc/dolby の 2 箇所に存在し、内容が微妙に異なっていたりする)

ファイル名

• dax-default.xml
  • 最近はほとんどこれ
• ds1-default.xml
  • 古めの DS1
• ds-default.xml
  • 古めの DS1 / DAX2
• ds1-0028.xml
  ds1-0031.xml
  ds1-0033.xml
  • 古めの Amazon Fire タブレット
  • ファイル名に DS1 とあるが DAX2 でも使用
• multimedia_dolby_dax_default.xml
  • 一部の OPPO / OnePlus 端末
• dax1-default-mono-speaker-mainoffer.xml
  dax1-default-mono-speaker-secondoffer.xml
  • Lenovo TAB6 (A101LV) でのみ存在を確認
  • ファイル名に mono-speaker とあるが、この機種はステレオスピーカー

format_version と tool_version について

以下の集計では format_version と tool_version は X.X.X のような表記にしているが、実際には以下のように記載されている。

<format_version major="3" minor="10" maintenance="1" />
<tool_version major="3" minor="10" maintenance="1" />

古いファイルだと、これらの値の意味がコメントに記されている。

<!-- Version of this file format. -->
<format_version>1</format_version>
<!-- Version of the profile and tuning tool that created this file. -->
<tool_version>1</tool_version>

PCEE の頃には Dolby Tuning and Profile Creator というソフトウェアがあったようだが、profile and tuning tool とはそれに相当するものなのだろうか。

記載内容集計

このファイルの主な記載内容は Dolby Audio Processing の各エフェクトのパラメーターだが、以下の表ではそれ以外の部分をメインに集計している。format_version と tool_version による違いは、主に Dolby Audio Processing のバージョンによるエフェクト内容の違い。

設定ファイルには載っていない DAP library version の取得方法や集計は後ほど。

DS1

Android 9 の頃は DS1 表記のものと DAX1 表記のものが混じっている。

DAX2

DAX3

DAX3_S

Samsung はアップデート時に設定ファイルを更新し忘れることが多々あり、参考にならない場合がある。

Dolby Audio Processing (DAP)

バージョン確認方法

Dolby Audio Processing のバージョンは先程の設定ファイルにも載ってはいるが、細かいバージョンを確認するにはログを見る必要がある。

ログ確認方法: Dolby Digital / Dolby Digital Plus / Dolby AC-4 の音源を再生 or Dolby Atmos 対応のゲームをプレイし、以下のコマンド

adb shell "logcat | grep 'DAP library version'"

ログ出力例:

I DlbDap2QmfProcess: DAP library version: MOBILE v2.0.2

タグは DAX のバージョン、端末、操作によってバラバラなので、grep で絞り込んでいる。以下、代表的なタグを紹介する。

• DlbDap2QmfProcess
  • DD / DD+ / AC-4 音源再生時に出るログ
  • 最近の多くの端末
  • Galaxy では稀に不正確 (One UI 4.1 の Note10+ など)
• DlbDap2Process
  • DD / DD+ / AC-4 音源再生時に出るログ
  • 古めの端末及び Galaxy ではこちらにバージョンが出る
  • Galaxy はこちらの方が正確かも?
  • Galaxy 以外の最近の機種でもこのログが出ることもあるが、原則バージョンまでは出ない
• DlbGameDap2Process
  • Dolby Atmos 対応ゲーム をプレイすると出るログ
  • すべての Dolby Atmos 搭載端末が対応ゲームを Dolby Atmos でプレイできるわけではない (最近の機種でも非対応なこともあり、調査中)
• DlbDap2JocProcess
  • DD / DD+ / AC-4 音源再生時に出るログ
  • 初期の DAX2 搭載端末

なお、一部の arrows ではこのログは出ない。

バージョン一覧

変更点に関しては現在調査中で、憶測を含む。

Unified Decoder Converter (UDC)

バージョン確認方法

Dolby Digital / Dolby Digital Plus の音源を再生中に

adb logcat -s udc_user:I

ログ出力例:

I udc_user:
I udc_user: *** DDPlus Unified Decoder Simulation  Version 1.13.0 ***
I udc_user:
I udc_user: 7.1-channel decoder-converter,
I udc_user:
I udc_user: 5.1-channel dual-decoder-converter,
I udc_user: Karaoke unsupported,
I udc_user: TPNP supported.
I udc_user:
I udc_user: Unpublished work.  Copyright 2003-2020 Dolby Laboratories, Inc. and
I udc_user: Dolby Laboratories Licensing Corporation.  All Rights Reserved.
I udc_user:
I udc_user: USE OF THIS SOFTWARE IS SUBJECT TO A LEGAL AGREEMENT BETWEEN YOU AND DOLBY
I udc_user: LABORATORIES. DO NOT USE THIS SOFTWARE UNLESS YOU AGREE TO THE TERMS AND
I udc_user: CONDITIONS IN THE AGREEMENT.  BY USING THIS SOFTWARE, YOU ACKNOWLEDGE THAT
I udc_user: YOU HAVE READ THE AGREEMENT AND THAT YOU AGREE TO BE BOUND BY ITS TERMS.
I udc_user:

所々スペースが2つあったり、7.1-channel ～ と 5.1-channel ～ の間に謎の空行があったりするのは昔からの仕様。

Karaoke が unsupported なのと TPNP (Transient Pre-noise processing?) が supported なのは、検証した限りではどのバージョン / どの端末でも共通。

なお、一部の arrows ではこのログは出ない。

バージョン一覧

DAX3 には DAX3_S や DAX3_G も含んでいる。

詳細不明だが、関連がありそうなのでメモとして。

Codec Versions (Phase 1)

Dolby Digital plus:
Dolby Digital plus Prototype Encoder Version 1.4.0.2
Dolby Digital plus Decoder-Converter Simulation Version 1.0.14

Codec Versions (Phase 2)

Dolby Digital plus (Phase 2 new):
Dolby Digital plus Prototype Broadcast Encoder Version 1.6.0
Dolby Digital plus Decoder-Converter Simulation Version 1.1.7

EBU Evaluations of Multichannel Audio Codecs (Geneva September 2007)

No new test material was required for the Phase 3 tests, as none of the codecs were developed after the Phase 1 and 2 tests were completed.

(略)

Codecs used in Phase 3

Dolby Digital plus:
Dolby Digital plus Prototype Broadcast Encoder Version 1.6.0
Dolby Digital plus Decoder-Converter Simulation Version 1.1.7

EBU Evaluations of Multichannel Audio Codecs (Geneva March 2010)

Dolby AC-4 decoder

バージョン確認方法

Dolby AC-4 の音源を再生中に

adb logcat -s ac4_user:I

ログ出力例:

I ac4_user: Dolby AC-4 decoder wrapper version 4.1.0
I ac4_user: Dolby AC-4 decoder version 3.2.1

なお、一部の arrows ではこのログは出ない。

バージョン一覧

DAX3 には DAX3_S も含んでいるが、DAX3_G は含まない。

デコーダー本体とラッパーの構成でできているおかげか、DAX3 に搭載されているものと同じと思しき Dolby AC-4 デコーダーは Android / iOS / iPadOS 版 Amazon Music アプリでも使用されている。

Android 端末で確認するには、Dolby AC-4 非対応の端末 (※対応端末だと端末側デコーダーが使用される) で Dolby Atmos Music を再生し、以下のコマンド:

adb shell "logcat -s AmznMusic_DMPPlayer:I | grep Dolby"

ログ出力例:

I AmznMusic_DMPPlayer: DT:M [PacketDecompressorDolby.cpp:275] Dolby Audio version=3.5.6 api=1.1 decoder=2.3.2

恐らく端末起動後の初回再生時にしか出ないログだと思われるため、出てこない場合、一旦端末を再起動すると良い。

Dolby Audio version=3.5.6 は Android 10 向けの DAX3_3.5.6.11_r1 のことのようにも思えるが、DAX3_3.5.6.11_r1 の Dolby AC-4 デコーダーのバージョンは 2.3.0。バージョン 2.3.2 の Dolby AC-4 デコーダーは、Android 11 向けの DAX3_3.6.0.12_r1 で使用されている。自分が知らないだけで、DAX3_3.5.6.11_r1 と DAX3_3.6.0.12_r1 の間があるのかもしれない。

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